
元お笑い芸人のなつい( @kurikei710 )です。
12年間のお笑い活動のなかで、経験をしたからこそ言えるという内容をこれからお伝えしますね。
芸人時代の過去を振り返ると、キャリアスタート1ヶ月目から自己主催でお笑いライブを開催しては200人以上の動員を達成させたり、「キャリアが浅い芸人が開催するお笑いライブではありえない」と言われるくらいの超黒字を出したりしていました。
この記事のタイトルに興味をもってくれたあなたはきっと、
と気になっていることでしょう。
これから芸歴12年の元芸人が、毎月自己主催をしていたお笑いライブで『超黒字を出し続けてきた運営マル秘テクニック』を紹介します。
なにかほんの少しでも、あなたのお悩み解決の参考となると嬉しいです。
当記事では「超黒字」という表記が何度も出てきますが、超黒字の具体的な金額は15〜50万円程度。芸人の自己主催ライブでは、ライブ1回で収益を出すのはかなり難しいものです。
利益が多く出たとしても1万〜3万円程度。
それどころか、マイナス(損失)を出しながら運営しているのがほとんどです。
そのような状況であるなか、ライブ1回で15万円程度の利益が出る主催ライブを月に2〜3回、これを6年間続けて利益を出し続けていました。
それでは本編をご覧ください。
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超黒字を出すためのカギは「集客」と「固定費」
何を今さらと思う方がいるかもしれないですが、イベントの運営で黒字を出すためには、「集客」と「固定費」という考えを避けることができません。
当記事のお題となっている”お笑いライブの運営”に当てはめて掘り下げてみましょう。
できるだけたくさんのお客さんにチケットを買ってもらい (集客)、会場費や経費など(固定費)をできるだけ下げることができれば、「集客売上 – 固定費」の計算式で差額が大きい分だけ黒字となります。
例として数字で表したのが下記です。
なつい
A:
集客50人×1,000円 = 50,000円
固定費50,000円
利益 = 50,000円 – 50,000円 = 0円
B:
集客200人×1,000円 = 200,000円
固定費10,000円
利益 = 200,000円 – 10,000円 = 190,000円
すでにお気づきの方もいると思いますが、私はBの利益を出す運営を行っていました。
多くの利益を出すためには、より多く集客し、できるだけ固定費(経費等含む)を下げる。
たったこれだけです。
前置きが長くなりましたが、具体的に行っていた実践テクニックを下記からお伝えします。
まずは、どのようにして集客を上げてきたのかを見ていきましょう。
集客アップをさせた方法

ここで私があなたに今お伝えしたいのは、集客(売上)の対象はお客さんだけではないということです。
それは、ライブに出演をしてくれる芸人さんも集客(売上)の対象であるということです。
ライブ出演者に5,000円のノルマを設定し回収
私は主催ライブで出演者全員に対して、出演ノルマ5,000円を設定していました。回収していたノルマ金額の内訳は下記のようになります。
—ライブ構成 (出演12組)
- ピン芸人 …3人×5,000円 = 15,000円
- コンビ芸人…7組(14人)×5,000円 = 70,000円
- トリオ芸人…2組 (6人)×5,000円 = 30,000円
プラスしてお客さんが払ってくれたチケット代金が、売上となるわけです。
芸人時代は、同期の芸人や先輩芸人から
同期の芸人
先輩芸人
などと言われることが多々ありました。
お笑いライブの出演ノルマ相場は、ピン芸人やコンビ、トリオなどを問わず、1組(1人)あたり無料〜3,000円程度です。
今あなたもきっと、私が設定をしていた「1人5,000円のノルマは高い」と感じていますよね?
私もライブ主催者の立場じゃなければ、きっと「ノルマが高い」と感じていたことでしょう。
実際は、1人5,000円という高ノルマを払ってでも「どうしても出演したい」と声をかけてくれる芸人が増え続けました。
この理由は、5,000円を払う価値があるライブだと感じてくれた芸人が多くいたからです。
では、私がどのような価値を提供したのかを見ていきましょう。
ライブ出演ノルマ5,000円に見合う7つの価値を提供
私はライブ出演ノルマ5,000円に見合った価値を7つ明確にし、提供をしていました。
1. チケット売りを頑張らなくてもお客さんが満員
前述でも紹介をした、
集客アップをさせた方法
ライブへ来てくれる「お客さんを集める具体的な方法」については、以前に当サイトで紹介をした下記の記事をご覧ください。
や、その他の集客戦略を行いライブ会場が常に満員のお客さんで埋まっている状態を作りました。
10年前も現在(2017年12月24日時点)も変わらず、集客に苦しみながら開催をしているお笑いライブが多々あります。
お客さんが10人どころか、0人という状態でライブだけがスタートするなんてところもあるくらいです。
5,000円を出せば200人の前でネタを披露できるという価値は、若手芸人にとっては大きかったと思っています。
2. 女性が8割のとにかく若い客層
ライブ会場に足を運んでくれるお客さんの8割くらいが若い女性というのも、芸人にとって大きな価値だと思っています。
理由は、若い女性が売れていない芸人をのし上げる影響力を持っているからです。
今では、スマートフォンアプリや流行りの言葉などの多くが、女子高生や女子大生といった若い女性発信となっていますよね。
お笑いライブでも若い女性のお客さんがきっかけで、芸人が番組のオーディションに呼ばれたり、雑誌取材に呼んでもらえたりするなんてことがありました。
3. ライブ演出のこだわり
現在(2017年12月24日時点)では、舞台照明を派手にしたり格好いい音楽に合わせて豪華な映像を流したりと演出にこだわるお笑いライブが増えてきました。
ですが10年前では、演出にこだわって運営をしているお笑いライブはありませんでした。
演出があったとしても、コンビ名を文字でスライドにして流す程度。
私は、芸人が5,000円を払ってでもライブに出たいと思うように、下記のこだわりをライブ運営に組み込みました。
- 照明で使う色数を増やして派手にする
- ライブが始まる前に、出演芸人で撮った諸注意のお願いなどの映像を流す
- ネタの出番前には格好いい曲に乗せて、本人の名前と映像を流す
- ライブ後にお客さんから回収したアンケートをすぐに見ることができる仕組み作り
4. 他のライブより出演時間が長い
たくさんいるお客さんの前で、できるだけ多くの時間舞台に上がってもらえるようにしていました。
- ネタ時間は5分までOK
- ネタ披露後のMC(司会)とのトーク
- 企画のコーナー出演
- ライブのエンディングコーナーで、告知(アピール)タイム
他のライブではネタ時間は3分程度、ネタ披露後のMCとのトークはなし、企画のコーナーやエンディングコーナーでの告知は、限られた芸人のみというのが通常でした。
5. 他事務所の芸人や、ネタ番に組出演している芸人と一緒
事務所に所属をしている芸人にとって、他事務所の芸人と一緒になれる場所があるのは新たな発見や刺激があるため嬉しいものです。
また、事務所に所属することができずフリーとして活動をしている芸人にとっても、色んな事務所の芸人とライブで一緒になれる機会はありがたいもの。
現在(2017年12月24日時点)では、色んな事務所の芸人が1つのライブに出ていることは珍しくないですが、10年前ではかなり珍しかったと思います。
その他、ネタ番組でよく見かける芸人もライブに多数出演していたので、番組に認められた実力芸人と一緒の舞台に立てる環境は、芸人にとって大きな価値でした。
6. 学園祭や他の仕事に出演者をブッキングさせることがある
前述したように、足を運んでくれるお客さんの多くは女子高生、女子大生でした。
そして、リピーターを増やす方法を大公開!元芸人が明かす実践テクニックにより、お客さんと距離が縮まることで、
“女性のお客さん”
と声をかけられることが増えました。
早稲田大学、慶應大学、立教大学、法政大学、明治大学、中央大学、青山学院大学、東京大学、学習院女子大学、昭和女子大学、昭和大学、電気通信大学、桜美林大学、日本大学、実践女子大学、など
(順不同)
出演者としてだけではなく、ライブ演出や出演者のブッキングなども行って欲しいとのことで声をかけてもらっていたので、5,000円のノルマを払ってくれた芸人を優先的にブッキングするようにしていました。
また、ラジオのゲストとしても呼ぶことが多かったです。
仕事の機会が増えることはもちろん、事務所所属芸人の場合には、担当のマネージャーさんへ「○○さんをどうしても仕事で使いたいです」と連絡を入れていたので、評価が上がるという価値がありました。
7. テレビ番組の関係者や制作会社のカメラをライブに入れている
ライブに出たい芸人
という芸人が1番魅力を感じると言っていた価値です。
事務所に所属をしていない芸人は、事務所に所属をしている芸人と比べて番組のオーディションへ行くチャンスが圧倒的に少ないです。
事務所に所属をしている芸人の場合でも、オーディションは年功序列で順番待ちといった場合が多くありました。
そのようなオーディションへ行くチャンスない芸人が、ライブでテレビ番組の関係者に見てもらえる環境を整えました。
言ってみればライブで披露するネタや司会者とのトークなどが、そのままオーディションとなるわけです。
実際に、番組関係者や制作会社が気になる芸人を見つけた場合、所属事務所のマネージャーへ直接連絡を入れてもらったり、フリー芸人の場合は私が窓口担当となったりしていました。
アンチを炎上させて・放置をすることで集客をアップさせた

さて、前述の「価値7つ」を提供しても
同期の芸人
先輩芸人
と言ってくる同期の芸人や先輩芸人がたくさんいました。
「ノルマを下げてくれ」と言われて私は、もちろんノルマを下げませんでした。
先輩芸人であろうが、
なつい
と断りを貫きます。
内心、「5,000円を払ってチャンスを広げていこうと思わないのかな?」「1,000円のチケットを5人に売ってノルマ5,000円をペイできないの?そんなやる気のない人、人気がない人と一緒にライブをしたくないぜ」と思っていました。
当然、芸人からの値下げ交渉を断るぶんだけ批判が拡散されることになったのですが、批判を消化するためにノルマの引き下げをすることはもちろんありません。
消化することとは逆に、批判者を炎上させる方法でアンチを増やすことに注力しました。
(※具体的な方法については、当記事で控えさせていただきます)
アンチが他の芸人やお客さんへ「あいつのライブは最低だ」「あんなクソなライブには絶対に行くな」と批判をしてくれればしてくれるだけ、お客さんや芸人が「これだけ叩かれているライブってどんな?」と興味をもち、足を運んでくれました。
足を運んでくれれば、もうこちらの勝ちです。
満席で熱気がある会場、演出にこだわったライブを初めてみたお客さんはリピーターになってくれ、芸人からは
ライブに出たい芸人
と声をかけてくれました。
「ライブの質を落とさず公演回数を増やす」で収益が倍増

ライブ運営にこだわったこと、アンチを炎上させたことによって、お客さんの数とライブ出演志願者の数は、1回のライブでは収まりきらなくなりました。
そうなってくると、ライブ開催数を月に2回3回と増やして人を分散させる。
分散をさせることで収益が単純計算で倍々となりました。
【クオリティーを担保するための気配り】
- 披露するネタは全組み必ず新ネタ!
- ネタ時間やMC(司会)の時間はダラダラ伸びないよう、タイムキーパーが徹底管理
- ライブ演出(照明や映像)でミスがないよう徹底リハーサル
- 出演者が毎回同じとならないよう、シャッフルして分散させる
- 来てもらったお客さん数名に当たる、出演者全員が書いたサインTシャツや色紙などを用意
おわりに
私が自己主催のお笑いライブで、超黒字を出し続けてきたテクニックをお伝えしてきました。
黒字運営ができたのは、私1人だけの力ではありません。当時の相方(京都大学卒)の知恵や実行力の手助けが大きかったです。
その他、ライブに出演してくれる芸人や会場へ足を運んでくれるお客さんあってだと感謝をしています。
あなたが、「集客イベントを開催したいと思っているけど、失敗しないか」と不安になられているのでしたら、いちど自身がイベントで提供をする価値ってどんなだろう?と分析をしてみてはいかがでしょうか?
【番外編】ライブ収益のほとんどは広告費と投資へまわした
この記事を初めからここまで読んでいただけた方で、
と思われた方もいるでしょう。
最後に、ライブ収益を何に使っていたかをお伝えします。
ライブ収益は冒頭にあったように、月に15〜50万円程度。この金額を全て自分のポケットに入れていたかと聞かれると、それは違います。
リピーターを増やす方法を大公開!元芸人が明かす実践テクニックでも書きましたが、私は年に数回、60万円程度のライブ告知用のチラシを撒いていました。
チラシ(広告費)のストック金として、そして当時の相方と会社を立ち上げるための資本金にまわしていました。
そのため、実際にポケットに入ったお金はそれほどありませんでした(濁してごめんなさい)。