私は19歳から約12年間、お笑い芸人として活動をしていました。
お笑い活動をしている中で、「あなたの魅力(強み)は何ですか?」とオーディションや所属事務所の会議で聞かれたとき、胸を張ってこれです!と必ず答えていたのは『集客力』『ライブ動員数』『ファンの数』でした。
本来芸人であれば、「ネタが面白い」や「他の芸人が思いつかないようなシュールな発想力がある」と言いたいところでしたが、残念ながら自分にはそのような強みやセンスはまったくなし。
ですが「集客力があり、イベントを開催すれば動員数の確保ができて安心」といった理由から、大手事務所のイベントやテレビ番組などに数多く呼んでもらえることができました。
こちらの記事では、私がお笑い活動を始めてたったの1ヶ月で、200人規模の会場をパンパンに動員した方法・戦略を紹介します。
「イベントの集客方法がわからない」「動員数が伸びない」といった悩みがあり、ここに辿りついたのだとしたら、あなたの時間を少しだけください。
私が実践して結果を出した集客のコツやアイデアをお伝えします。
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より結果を出した「集客方法」はSNSではなくリアル
現在ではインターネットがあたりまえのように浸透していることもあり、Facebookやツイッター・インスタグラムやブログの活用で動員する人も多いことでしょう。
ツイッターのフォロワーが何万人もいるプロブロガーや、すでに名前が世に知れ渡っている有名人からすると「たったの200人?」と思うかもしれません。
ですが、たった10人も集めることができないと悩む人が実際にいるのです。
なつい
インターネットでは思ったほど集客できない…
これはあくまで経験から出てきた持論です。
ツイッターやLINEなど、SNSの進化により情報交換や人と人が繋がる回数はこれまでの何倍にもなりました。
ですが、SNSの拡散希望で情報が拡散されたとしても、結局のところ集客に繋がるのは、本人やファン同士の個別のやりとりの結果。
拡散された情報を見ただけでは集客まで繋がりづらいと感じます。
なつい
過去に自分が取り組んだブログ集客・ツイッター集客の方法でも動員数を上げることはできましたが、手応えがあったのはインターネットを介さないリアル集客です。
後ほど、お笑いキャリア1ヶ月でライブ動員200人を達成させた集客方法をお伝えしますね。
なつい
どうしてお笑いキャリア1ヶ月で大規模な集客をする必要があったの?
冒頭から言ってる、『お笑いキャリア1ヶ月でライブ動員200人』!
そもそもどうして、キャリアをスタートさせたばかりでこれだけのお客集めをする必要があったのでしょう。
新入社員で例えると、入社1ヶ月で営業をバンバン頑張り『売上○○円を達成させる』ようなもの。
キャリア1ヶ月目は、とりあえずはまわりの様子を見て会社のルールを覚えようと思う人が多いでしょう。
ですが、自分の場合はそうではありませんでした。どうしてもキャリア1ヶ月目からイベント集客で結果を出したかった理由があったのです。
理由は、事務所に必要な存在と思われたかったから
自分がキャリアをスタートさせたのは、お笑い養成所からでした。新聞に載っていたホリプロのお笑い養成学校に一期生として通い始めたのが始まりです。
なつい
養成所1日目にザ・たっちを見たとき『事務所は絶対にこいつらを売り込む』『事務所が力を注ぐタレント枠を1つ取られてしまった』と思いました。
そして、養成所の初日で「他がしないことを率先して目立たないと、自分は事務所に名前すら覚えてもらえない」とかなり焦りました。
「他がしないことって何だ?」
「事務所が必要とする人間はどんな?」
なつい
同期のなかで権力がほしかったから
「権力」と言うと少し横暴に聞こえるかもしれないですが、集客力があるところを同期や事務所の人間に見せて、とにかく養成所のなかでリーダー的存在になりたかった。
もっと掘り下げて言うと、養成所が授業の一環として開催するお笑いライブでも、『集客力があるのはあいつだけだな』と言わせたい。
事務所からライブ開催の連絡があれば、『自分がまとめ役として仕切ります。集客は必ずします』と言い、まわりの同期が動く。
このような権力がほしかったのです。当時はこのような気持ちがとても強くあり、たとえキャリアが浅くても、会場の規模が大きくても、絶対に集客をしてやろうと思っていました。
動員数200人の秘密
この記事のタイトルを見ても「どうして200人なの?」と数字が気になる方もいるでしょう。この数字は何をもとに決めたのかをお伝えしていきます。
事務所ライブの動員数5倍に目標を置いた数字
200人という数字は、2002年に開催されたホリプロ主催のお笑いライブにいたお客さんの数字(ざっと見)の5倍を目安に決めました。
「じゃあ5倍は何?」と言われると、これは自分が短期間でギリギリ達成できるかなという期待を込めた数値です。
養成所に通い始める前に見た、会場規模282名(東京都品川区東大井にある「きゅりあん」)の劇場にお客さんがたったの40人!
事務所に所属をして芸人活動をしているプロが10組以上出演して、たったこれだけの動員数。
もし自分だけで200人以上をイベントに動員させることができれば、「あいつは集客力があるぞ」「事務所にとって絶対必要だ」と、芸歴に関係なく先輩を飛び越え事務所に売り込んでもらえると思いました。
なつい
集客方法の実践前に…
なつい
数十カ所のお笑いイベントを下調べ
200人動員という目標を決めたのは養成所初日ですが、じつは集客数や動員数については以前からずっと興味がありました。
いつかはお笑い芸人になって会場をお客さんでいっぱいにしたい。そんな思いで劇場に通っていたので、ラッキーなことにイベントの下調べはできていたのです。
この下調べでは色々な部分を見ました。ざっと思い出すとこんな感じですかね。
- どのような芸人が出ていればお客さんが多い(少ない)か
- 動員されているライブ会場は駅から何分くらいか
- チケット料金の違いで客数に大幅な違いがみられるか
- 会場にいるお客さんの年齢層の割合
- どこの事務所のライブにお客さんが入っているか
数十カ所まわり、これらの部分をじっくり見ていると、集客力があるライブの特徴や、動員数がないライブのダメな部分が見えてきます。
なつい
優秀なパートナー(相方)選び
養成学校が始まる前にお笑いライブへ数十カ所まわり、集客力があるライブの特徴と、動員数がないライブのダメな部分がつかめました。
続いては、1ヶ月で集客200人を達成させるためのパートナー(相方)選びです。
養成所1日目で行う自己紹介の場が、目標を達成させることができるかどうかを決めると言っても過言ではありません。
自己紹介タイムが始まり、この後パートナー(相方)となる金髪姿の人間が自己紹介を始めました。
なつい
- 京都大学経済学部卒業
- 電通の内定を蹴って養成所にきた
- 大学在学中に大きなイベントを何度も手がけている
- 見た目のインパクトとトーク力
- ホリプロのお笑い養成所と、大阪吉本NSCのダブル通学
- 大阪ですでにお笑いライブを開催している
それなのにトップオブザトップの広告代理店、電通の内定まで蹴ってお笑いの世界に飛び込んできた無茶振りに一目惚れ。
こいつと組めば、『無謀な目標であろうと間違いなく短期間で達成できる』と思いました。
他の同期の自己紹介が始まりましたが、金髪の彼をコッソリ事務所の外に呼び出し、「1ヶ月で200人を動員させるライブを開催して、事務所の人間を掴みたい」と伝えました。
ここでコンビ結成!
なつい
コンビを結成したときに撮った写真がこちら!
なつい
ターゲット(客層)の選定
集客の戦略を考えていく上で、自分がどのような客層にターゲットを絞るかは重要です。
ではここで、私が定めたターゲットと、ターゲットにした理由について伝えますね。
まずターゲットにしたのは『大学生』です。
大学生は遊びにサークルにと、とにかくアクティブ。行動活発な大学生1人を捕まえることができれば、サークル仲間や先輩後輩を数人ライブ会場へ連れて来てくれる。
さらに大学を卒業して社会人になっても、会社に馴染むまでの間はライブに来てくれるだろうと思いました。
つまり、大学生をお客としてしっかりと捕まえることができれば、長くて4年は見込み客にできると考えたわけです。
大学生というドメインは消えることがない
この先、大学が世の中から消えることはまず考えられません。大学生が卒業をしても、また新たに大学へ入学してくる人間がいるわけです。
なつい
自分の集客戦略のひとつとして、行動活発で数人引き連れてライブへ来てくれる大学生をターゲットに選びました。
ライブ開催地と会場規模の選定
前述した、お笑いライブを数十カ所まわったことで、しっかり集客できているライブの特徴を見つけました。
それは、ライブ会場が最寄り駅から5分圏内にあるかどうか。さらに交通機関に不便がないかどうか。
例えば『ルミネtheよしもと』だと、最寄駅が新宿駅、駅直結で会場へ行くのに迷わない、行きも帰りも駅が近いから気分的に負担がない!といいことづくしです。
このことから、
- ライブ会場が最寄駅から5分圏内で迷わない場所
- ターゲットに選んだ大学生が通いやすい駅
- 客席が200席以上ある劇場
- ライブ後、会場前でお客さんと話をしていても苦情が入らないところ
- できるだけ会場費が安いところ
初回のライブは無料開催で
お笑いキャリア1ヶ月で200人という大規模集客を達成するためには、入場料を無料にするしかないと思い実行しました。
なつい
ここで勘違いをされる人が多いのですが、「無料にすれば必ずお客さんが集まる」わけではないということを知っておいてほしいです。
料金無料のイベントを開催しても、お客さんが集まらないと悩まれている方はすでにご理解いただけていますよね?
なつい
実践した具体的な集客方法って?
ここまでは集客をするための戦略的な部分を軸に話を進めてきました。ここからいよいよ実践をした集客方法についてです。
「早稲田大学の入学式」でライブのチラシ配り
「ターゲットの選定は大学生に絞った」と前述しました。
私が通うお笑い養成所の授業スタートが3月の下旬。そして、ターゲットに定めた大学生は4月から入学式です。
これはもう集客をするのに絶好のチャンス。開催するお笑いライブのチラシを急いで作り、大学の入学式へチラシを撒きに足を運びました。
チラシ配りに選んだ大学名は早稲田大学!早稲田大学を選んだ理由は、京都大学卒である相方の後輩に早稲田大学生がいたからです。
その後輩を頼りに3日間に渡って行われる入学式の場へ潜入し、チラシ配りに行ったのでした。
ちなみに2002年は10,398人(早稲田大学公式サイトより)の入学者がおり、とにかく次から次へとチラシを配りまくりました。
配ったチラシは3日で3万枚(60万円分)
今はファミリーマートに吸収合併して存在しませんが、当時ampm(エーエムピーエム)という素晴らしいコンビニがありました。
何が素晴らしいって、コピー機がとにかく素晴らしかったのですよ。
10円でフルカラーコピーができちゃうのです。チラシ配りではとにかく手に取ってくれた人の目につくように、両面カラーコピー(1枚20円)にしました。
2002年の早稲田大学の入学者数は10,398人でしたが、実際に配ったチラシの枚数は3万枚です。
入学式へ来た学生へチラシを配る人間は自分以外にも、色んなサークルの学生さんが配っています。おそらく入学者1人が大学内を歩いてチラシを受け取る枚数は50枚近く。
いくらカラーコピーで目立つようにしたからと言っても、それだけ多くの中から自分たちのチラシが目に止まる可能性は低いと思い、1人に対して同じチラシを3枚〜5枚渡しました。
さらに入学者の付き添いで来ている親や、自分たちと同じようにチラシを配っているサークルの学生さんにも配り、3日間で3万枚(60万円分)を撒き終わりました。
インパクトがある一言を添えながらチラシを配った
なつい
「おねがいしま~す」「ぜひ見てくださぁい」と渡す人が多いのではないでしょうか?
それでは正直、誰にも見向きもしてもらえません。
なつい
チラシを受け取った瞬間に、「ハッ!」とチラシを思わず見させたテクニックがあります。
それはチラシを配るときに、インパクトがあるひと言を添えること。
例えば、男性に配るときには「カッパと天狗の戦いが見れますよぉ〜」や、女性に配るときには「どうぞ、マイナスイオンが出る紙でございまぁす」、学生の親に配るときには、「お父さんを探しています」なんて風に言いながら渡していました。
些細なことですが、普通にチラシを配ったときよりも目を向けてくれる人は多かったです。
大学内でサークル勧誘をしている学生さんと仲良くなる
集客方法のキモとなったのは、入学者へのチラシ配りだけではありません。
自分と同じように入学生へチラシを配っていた、サークル勧誘をしている学生さんにもチラシを配り、「近々お笑いライブをするから来て」と積極的に話かけました。
サークルの学生さんには、「無料だし、新入生との交流の場として遊びに来てよ」と集客に繋がるように話をもっていきました。
【結果】お笑いキャリア1ヶ月で動員数200人を達成!
事務所が主催しているライブで40人。その他、1桁の客数しかないライブが多くある中、キャリア1ヶ月で200人を集客したのは自分にとって大きな自信となりました。
集客方法の実践で心がけたことって?
集客の目標を達成するために、心がけたことがいくつかあります。
必要な出費はケチケチしない
チラシ配りをしたときに周りを見て思ったのが、出費をケチっている人間が多かった!でした。
片面の白黒チラシを配っていたり、「チラシの枚数が足りない」とせっかくのチャンスを取りこぼしていたり。
上で書いたように、大規模の人がいる場でチラシ配りをする場合には出費をケチらずに、「目標を達成するための必要経費だと可能な範囲」で使うことをおすすめします。
チラシ配りで落ち込んでいる暇はない
チラシ配りをしていると、自分たちが配ったチラシが落ちていたり、チラシの受け取り拒否をされたり、目の前で丸められたりなんてこともあります。
なつい
でも、10,000人以上に配ろうとしたらそんな場面があって当然です。
『落ち込んでいる間に、1人2人とチラシを配る対象者を逃してしまう』そんな気持ちで配り続けました。
ライブ会場へのアクセスがとても良いことを伝える
サークルを勧誘している学生さんに、「早稲田大学から高円寺のライブ会場へいかに負担なく行けるか」を説明しました。
早稲田大学がある東西線 早稲田駅からJR高円寺駅まで直通で15分程度あれば着くこと。
高円寺駅からライブ会場まで徒歩5分で着くことを入念に。
時間をかけてこの説明をしていたおかげで、思っていた通りサークル勧誘をしていた学生さんが、入学生を交流の場として大人数連れて来てくれました。
「集客維持」で頑張ったこと
チラシ配りをして200人以上の集客に成功しましたが、月1回の自己主催ライブを重ねるごとに、10人20人と会場に足を運ぶお客さんは減っていきました。
それはそうです。
大学生にとって楽しめる場所や使う時間は、お笑いライブ以外にもサークル活動や、バイト、試験とたくさんあります。
大学生にとって限られている貴重な時間をお笑いライブに優先してもらうために、とにかくライブ前やライブ後のお客さん対応で満足してもらえるよう心がけました。握手はもちろん、サインや写真、お客さんみんなを集めて何時間も雑談した記憶が。
ここでの雑談で、大学生は地方から上京をしてお金にシビアな面もあるため、「月1回のライブチケット料金800円も正直出すのが厳しい」という声も聞きました。
これらの面を含め、ライブ会場へ足を運んでくれたお客さんへの対応はとにかく心を込めました。
この気持ちが伝わったおかげか、友達を連れてきてくれるお客さんが増え、大学生のテスト期間などを除いて、月1回で自己主催のライブを開催すれば毎回200人近く集まるようになったのです。
おわりに
今回紹介をした集客方法は、環境や時期などによって、みんなが同じようにできるとは言えません。
ですが、集客アイデアのひとつとして、集客方法のひとつとして「こんな集客方法があったな」と、ふっと思い出してもらえると嬉しいです。
また、お笑い活動で実践した他の集客方法など、こちらのサイトで公開していきます。
なつい